不妊症治療5
不妊症治療ー最近の事情(5) (読売新聞朝刊 9/16)
| 不安和らげる心のケアー夫婦で協力しあえるように |
| 不妊症治療がめざましく進歩する反面、大半の患者は心身ともに大きな負担を強いられる。そうした患者の不安に対するケアは、これまで置き去りにされがちだったが、ようやく模索が始まった。 |
| 「治療を進めるためにも、患者さんの悩みに向き合うことが必要」。こう話す宮城県・スズキ病院長の東北大名誉教授、鈴木雅洲さん(78)は、患者へのカウ ンセリングを実践している。カウンセリングは助産婦が担当し、治療ばかりではなく、家族関係や経済面など、患者の生活全般に及ぶ。 |
| 30歳の時から不妊症治療を始めた主婦Fさん(38)。夫が精子の少ない乏精子症で、体外受精を行ったが、成功せず、精子を直接卵子に入れる顕微授精を実 施した。この治療も4回続けて受精卵が着床せず、不安は頂点に。助産婦資格を持つ看護婦長の八木橋香津代さん(42)のカウンセリングを受けた。「時間ば かり過ぎていく、このまま顕微授精を続けていいのでしょうか」。Fさんはさらに、母親から「そろそろ治療をやめては」と言われて切ないことや、夫に「治療 するもしないも君次第」と言われ、そうした受け身の態度をもどかしく感じていることを打ち明けた。「ご主人と2人で話さないの?」と八木橋さん。「治療の 話を切り出すのはいつも私。彼からも『次は〇月だね』ぐらい言ってほしい。でも、無理かな。私だって、何ヶ月も先の自分の体のことまで分からないから」 |
| 気持ちが落ち着いたFさんは帰宅後、夫にカウンセリングの内容を話した。すると、「自分も一生懸命に検査に通っている。積極的でないように言わないでほし い」。夫から治療に対する気持ちを聞くのは初めてだった。「君に引きずられて治療している感じもあるけど、それも悪くない、と夫が言って、2人で笑ったん です。こんなことは初めて」とFさん。次の治療への意欲がわいた。「患者さん自身が状況を判断し、自己決定していくことが重要」と八木橋さん。 |
| Fさんにも、「決断」の時が来た。着床に問題があったが、本人の希望で、10回近く顕微授精を受けたものの、妊娠に至らず、経済的にも治療を続けるのが限 界に近づいたからだ。そんな折、引き取り手のない子供が生まれたとの知らせが入った、「2人のどちらの血も受け継いでいない子を養子に迎えるのは、私たち にとっても公平で、いいんじゃないかしら」。Fさんの提案に、夫は賛成した。「できるだけのことはした。これまでの治療は、この子に会うためのプロセス だったと思えます」。新しい「家族」を連れてきたFさんは、そう八木橋さんに報告した。 |
| 不妊症の夫婦それぞれが精神的に孤立していても、カウンセリングにより、治療に協力しあえるようになるケースは少ないくない。八木橋さんは「たとえ治療を断念する場合でも、納得した選択ができるのではないでしょうか」と話している。 |
2009年1月12日|コメント (0)|トラックバック (0)
カテゴリー:ぴかり!最新TOPICS
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