体外受精
体外受精ー先進のベルギー流 (読売新聞朝刊 11/21)
| 独身、同姓婚でもOK 世界中から希望者 |
| ベルギーは「体外受精先進国」である。体外受精は社会的に広く認知されており、国外からも不妊に悩むカップルがベルギーを訪れている。生命の誕生をめぐる医療倫理が緩やかなことが、活発な体外受精の理由と言える。 |
| 体外受精技術で世界的に有名なブリュッセル自由大学付属病院で先月中旬、この病院で生まれた体外受精児たちを対象にした「公開授業」が開かれ、子供たち1000人と両親1500人が参加した。 |
| 「皆さんは、この試験管で生まれたんですよ」 15歳以下の子供たちは、ワッフルをほおばりながら、医師の説明を聞く。顕微鏡で精子を観察したり、病院職 員の寸劇を見て体外受精の仕組みを学ぶ。10歳になるローラさんは「私がどうやって生まれたか、あす学校でみんなに報告するの」と得意顔だ。4歳になる双 子を連れて参加したカルラ・デグラーフさん(31)は「子供たちに、私たち両親が彼らの誕生のためにいかに努力したかを見せたかった」と話す。公開授業 は、親同士が苦労話を打ち明ける、交流の場ともなった。 |
| この病院で体外受精を行うアンドレ・ファンスティールトゲーエム教授は「多くの家族が招待に応じたのは、体外受精児への社会的偏見が少ないことの証明」と話す。 |
| ここで体外受精に初めて成功したのは83年のこと。世界的に注目されるようになったのは91年、受精能力の弱い精子を卵子に注入する高度な顕微授精技術 ICSI(細胞質内精子注入法)の開発以来だ。教授は「対象者が40歳以下で6回試行すれば、受精の確率は80%」と胸を張る。病院内には不妊治療セン ターがある。英語、スペイン語など各国語を話す職員が、世界中から集まった治療希望者に応対する様子は、まるで国際機関のようだ。米国からはツアーを組 み、チャーター便でやって来る人たちもいる。 |
| これまでこの病院で誕生した体外受精児は約6000人にのぼる。世界から治療希望者が集まってくるのは、技術力もさることながら、ベルギーの体外受精に対 する倫理規定や法律が、ほかの先進国と比べて緩やかなためでもある。フランスやドイツなどは、医療倫理規定のほか、男女産み分けや体外受精が行える条件な どについて法で厳しく規定している。ベルギーでは今年2月に生殖医療規定法が発効したばかりだが、同法は、体外受精を行える医療機関の要件や、医師の説明 義務などを規定するにとどまり、規制は厳しくない。 |
| ベルギーでは人工授精に健康保険が適用できる。1回当りの体外受精負担額は約18万円。保険の適用ができない外国人の場合は、負担額は約60万円だが、同 教授によると「それでも米国の半額程度」で済むという。同付属病院では、他国では容認されにくい独身女性や同性愛カップルにも人工授精や体外受精を実施し てきた。死んだ夫の精子による妊娠を望んだ英国人女性が、同付属病院に精子を持ち込み、人工授精を受けて、昨年12月に出産した。このため、同付属病院の 生殖医療倫理のあり方をめぐる国際的論議が持ち上がったものだ。 |
| さらに、同付属病院では、着床前診断で、筋ジストロフィーなどの疑いが出た場合、人工授精卵を除去している。生命を選別するという「神の領域」まで踏み込 んでいるかに見える。しかし、同付属病院側は体外受精に倫理的な疑問を持っていないようだ。ファンスティールトゲーテム教授は「大学倫理委員会が治療希望 者と面接し、同姓婚や独身者についても、子供の将来に問題がなければOKを出す。生まれた子供が幸せになる条件が整っていればいい」と話す。 |
2009年1月11日|コメント (0)|トラックバック (0)
カテゴリー:ぴかり!最新TOPICS
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